老化によって認知力が低下していき、今まで行っていた食事方法、正しい姿勢、食具の使い方、マナーなどへの認識が甘くなります。この度合は人によって違い、個人差があるので相手のことをよく観察してどのような対処を行っていけば良いか、的確に判断しましょう。
一点食い
「一点食い」とは、1つの料理だけを食べ、他の物には手を付けない食べ方です。ダイエット法にも同じような物が存在しますが、そちらとは別の考えが元となって行う行動なので別物と考えましょう。
このような食べ方を行う原因としては2つあります。1つは視野が狭く、他の食べ物に気付いていない場合、もう1つは色への判断能力が低下したことによって食べ物が見えていない場合です。
前者への対応が下記の通りになります。
- 食べ物を認識させるために「ここにありますよ」などと声掛けをする。
- 見える範囲に食器を移動させる。
- ご飯の上におかずを乗せたり、1つのお皿に集結させる。この時、見た目が美味しくなるような盛り付けをしたり、丼ものにするなどの工夫が必要となる。
後者への対応はまた変わってきます。
- 色とりどりの食器を使用する。
- 白い食器に白いご飯を盛るなど、似た色の組み合わせは出来るだけしないようにする。
手掴みで食べる
老化によって手先を器用に扱うことができず、食具の使用が困難になってしまいます。すると食事を口に運ぶのも一苦労となり、そのじれったい気持ちから食具を使わずに手掴みで食べてしまう行為へと移ってしまう場合も少なくありません。
その場合の対処法として、食具や姿勢、机やイスの高さなど、食べやすい環境作りが解消の手助けとなるので、どのような食事環境を整えれば良いのか観察しましょう。
自身の手ではなく、介助によって食事を行うと特に問題なく食べてくれる場合もあります。そのため、食具を使う事が面倒だと感じていることが多いと考えられます。
衛生管理がしっかりと行えているようなら、手掴みでも構いません。現にパンや果物などは手掴みで食べることもあるので、けっして作法が悪いというわけではありません。
とはいえ、多用していると食具を使用するマナーへの認識がどんどん低下していくため、普段から食具を使用する機会を増やし老化防止に繋げるようにしましょう。
離席する
高齢者の中にはふと、突然に席を立って一時食事を中断する光景が見られます。しかもこの時、何かしらの理由があって席を離れるわけではなく、一時的に食事への興味がなくなったようで、しばらくすると何事もなく着席します。
急に来る現象ではありますが慌てることなく見守り、「ごはんですよ」などの声掛けを行って食事を再度認識させるようにしましょう。
また、まだ満腹でもないのに食事を中断し、そのまま席を離れて他の作業へと移ってしまう場合もあります。きちんと必要量の栄養素が摂取できていれば問題ありませんが、摂取できていない状態でこのような食事生活が続いていると低栄養へと繋がりかねません。
日頃の食事量やその日の運動量をきちんと観察し、どのような食事が必要なのかその日の状況に合わせて適宜対応するようにしましょう。

