食べ物であることに気が付かない
認知力の低下に伴い、食べ物であるという認識が薄れてしまう事があります。「食べ物ですよ」と声掛けしても、食べ物を見る様子もなく拒否する場合もあります。
また、おせちなどのように綺麗に盛り付けられている料理だと、逆に食べてはいけない物だと認識してしまう場合もあります。より相手のことを観察し、どのような対応を行えば良いのか適切な判断が必要となります。
対応方法
- 食べることに関する色々な言葉を使ってみて、どのような反応をするか観察してみる。たとえば、みそ汁を「おつけ」「おつゆ」「汁」など、過去に使用した言葉を用いて反応を確かめていき、食べ物と認識する呼び方を確認する。
- 食具を持たせて食事をする。茶碗や箸など、食べ物に関する道具を使用することによって食べ物へと関連する記憶がよみがえり、再度食べ物を認識することができる。
- 嗜好がわかっている場合、五感のそれぞれを刺激して好きな食べ物を認識させてみる。特に匂いから食べ物を連想する場合があるので、炒めたり熱を通して香りを立たせるよう工夫してみましょう。
喋り続ける
一方的におしゃべりをしてしまい、食べ物に気付かない場合があります。さらに話しながら食事を行っていると、誤嚥の危険性があるのです。介助によって食べ物を口に運んで行っても食べるよりも会話の方を優先しがちな人もいるため、そのような人に合わせた対応も必要になります。
対応方法
- 唇にスプーンを当てて、食べ物を食べる認識をさせる。
- 食べ物に視線を合わせるようにする。
- 食事の時間は食事に集中するよう言っておく。
異食(誤食)
食べることへの拒否はしませんが、それが食べ物であると認識が出来ずに食べてしまう場合もあります。そのため電池やネジなど体内に入り易い物や、ハサミなどの危険な無機物も飲み込んでしまう場合もあるので厳重な注意が必要となります。
対応方法
- 体内へと入り易い物、危険な物を簡単に手の届く場所に置かないよう、環境作りが必要となる。
- 万が一飲み込んでしまった場合、取り出さずに大量の水を飲ませ、病院へ連れて行く。異食によって窒息や炎症、体調不良を起こしかねないため、早めの判断が重要となる。
- 食器などの模様も食べ物と認識してしまい、口に運んでしまう危険性もあるため、シンプルな物を選ぶ。
- 色の識別が出来る様に、ハッキリした色調の物を選ぶ。
あるだけの量を食べる
低栄養を心配するあまり、たくさん食べさせて栄養不足をなくそうとする人もいます。しかしたくさん食べることによって逆に肥満や糖尿病、高血圧、膝への負担など様々な形で体に悪影響が出かねません。
また、食べることが好きで家族や介助の人の目を盗んで食べてしまう人もいるため、低栄養の危険を感じながらも、高すぎる栄養を与えないように気を付けましょう。
対応方法
- 噛み応えのある食べ物を提供する。
- 食べ過ぎな場合、エネルギーの少ない物を提供する。

