寝たきりの状態でも少しだけ体を動かしてベッドの端に座り、ベッドを椅子のようにして食事をとる人もいます。しかし中にはベッドに細工が施してあり、ベッドを座いすのように利用して食事を行う人もいます。
ギャッジベッドを使用する場合(80~90度)
ベッドの上半身が稼働し、大きな座いすのような形になるベッドをギャッジベッドと呼びます。最近ではベッドの部分だけでなく、ベッドの脚、高さを調節してくれる物も存在します。
ギャッジベッドを使用する人は様々ですが、比較的意識の状態がよく、食べ物の飲み込みが問題なく行えるような方であれば、ベッドから離れられない人でもイスに座るような姿勢に近付けても大丈夫です。
具体的に説明すると、ギャッジベッドを80~90度の高さにまで上げることで背筋が伸び、食べ物をきちんと認識できます。この時、膝を伸ばしたままの状態だと姿勢が安定せず、だんだんずり落ちてしまいます。そのため膝の下にクッションなどを入れて少し曲げると体が安定し、姿勢を保つことができます。
ですが、中にはギャッジベッドの機能としてひざ元が少し上がる物もあるので、クッションなどは場合によって使用する形で構いません。
また、マヒのある人ではマヒしている方へ傾いてしまう事もあります。そのような場合には傾いている方を枕などで支えるようにし、まっすぐな姿勢をとれるようにしましょう。
ギャッジベッドを使用していることから後ろへもたれかかっていますが、首から上の部分も体重を預けてしまいますとアゴが上がって誤嚥しやすくなります。自身の力でアゴが引けるようなら問題ありませんが、難しい場合には首の後ろに枕を当てて誤嚥の防止を行いましょう。
ギャッジベッドを使用する場合(30度)
「むせ」が多く見られる人や意識障害、マヒなどのため自力で食事が行えず、ギャッジベッドを十分に上げられない人もいます。
このような場合、むせを起こしにくく誤嚥を防止するためには高すぎても低すぎてもいけないので、約30度がちょうどよいと考えられています。このぐらいの角度ならば食べ物が口からこぼれにくく、その上重力を利用した飲み込みも可能なので気管へ誤嚥することも少なくなります。
さらにアゴを引かせるために枕を頭の下に挟んだり、姿勢を安定させるために膝の下にクッションなどを挟むなど、これまでに説明して来た様々な方法を活用して食べやすい姿勢をとって行きます。
症状の状態が改善方向へ向かっているようならギャッジベッドの角度を次第に上げていき、健康体となった時に背筋を伸ばして食事出来るようにしていきましょう。
