食事を行う上で料理や材料の栄養素などにも十分な理解が必要ですが、それと同時に食事を口へと運ぶための食具にも十分な理解が必要です。
老化によって手先の器用さが失われていき、箸で細かい物やすべりやすい食べ物を掴むのがとても困難になります。それによって食事への不満が積もっていき、食事をとるのを億劫に感じてしまう可能性もあるのです。
すると食事への意気込みが減って行くことで体は栄養素の分解を十分に行ってくれませんし、それどころか食事量も減って低栄養へと繋がりかねません。どれも連鎖的な関連付けのように聞こえますが、このような用心を怠らないことが介助には必要な事なのです。
このLessonでは高齢者や介助者が扱う道具などについて紹介していきます。中には少々変わった形の物も存在しますが、どれも百貨店やネット通販などで買いそろえることが可能です。それらの試してみて、どの道具が本人にあっているか色々試していきましょう。
選び方
まず、どのような道具が本人にとって必要なのか、理解する必要があります。下記の項目を参考に、道具を選んだり、加工してみましょう。
- 本人が使いやすく、好みに合ったものを選ぶ。
- 大きすぎる物は使いにくく、大量に食べ物をほおばるとむせの原因になってしまう。そのため本人の口の大きさに合わせる。
- 手がマヒしている人、握力が弱い人でも自分で食事をしたいという人もいて、その意気を補助出来るように柄が太い物や、手に引っ掛けられる留め具などを工夫して使用する。
- 手の関節が動かない人には柄が長い食具を選ぶ。
種類
食具にも箸やスプーン、フォークなどの種類が存在しますが、それぞれ高齢者に合わせた形を持っています。そしてその形は多種多様で、きちんと相手に合わせた食具を選ぶようにしましょう。
柄の太い物
フォークやスプーンなどの柄が持ちやすいようにスポンジや木、プラスチックなどで太く加工された物があります。また、中には太い柄だけを販売しており、すでに持っているスプーンなどに装着して使用する物も存在します。
角度の付いた物
スプーンやフォークなどの首から上が曲がっており、角度を付けた食具もあります。これは右手用、左手用に傾き方が左右分かれていたり、自身の角度を変えられる物もあるので、その人に合った食具を調節して作ることができます。
握ると挟める箸
手先の器用さは失われても、まだ握力が残っている人はこの箸を利用します。箸の頭（天）の部分にバネや蝶つがいのようなものが装着してあり、握るだけで物が挟める仕組みになっています。
形としては割りばしやピンセットなどに近いです。