ゆとりを持って楽しい食事を心掛ける
食事を行う本人に「食事は楽しい」と感じてもらう事が必要ですが、その感覚を持ってもらうために介助者がフォローする場面も必要となります。そのためにはまず介助者に落ち着いた気持ちで食事介助を行い、ゆとりを持った余裕ある態度であたっていくことが大切です。
相手のことを気遣い過ぎて行動が固くなってしまったり、時間に追われたりしていると自然と動きが速くなって相手の行動をせかしてしまいます。そんな態度で臨んでいては相手も楽しく食事を行う事が出来ません。
相手がリラックスして食事を行えるように介助者の方から和やかに会話の話題を提供したり、食事が楽しく進むよう心掛けていきましょう。
ただし、食べ物が口の中に入っている時に話しかけると誤嚥してしまったり、こぼしてしまったり、会話に夢中になって食事への関心が失われてしまう場合もあります。あくまで会話はその場をリラックスさせるための軽いコミュニケーションにとどめ、本来の目的である食事に目を向けさせるようにしましょう。
また、相手を安心させるために目線の高さを合わせる方法があり、イスやベッドなど腰かけて食事をする時には介助者も同じようにイスに座り、正座して食べるようなら同様に正座して介助を行うようにします。
摂食自立への援助を第一に考える
老化によってうまく手が動かせず、介助の人の手を借りて食事を行っていくことは多々あります。しかし自分で食べることが大変な人でも、出来る限り自力摂取を行えるよう援助していくことが大切です。
たとえ1口だけしか出来なかったとしても、自力で食べた食事と他人の手で食べさせてもらった食事とでは前者の方がより多くの満足度を得られます。
とはいえ食事時間が長くなってしまう事に負い目を感じて自力摂取を遠慮してしまったり、自力で食べられるのに他人との関わりを求めて食事介助を頼ってしまう人もいます。
たしかに食事は栄養補給やコミュニケーションを養う場としてとても最適ですが、長い時間拘束していても良い効果が得られるとは限りません。しかし自分の意思で食べようとする『自立心』や手先の運動による『老化防止』はどちらもその人にとってとても重要な事となります。
不自由な手つきやついこぼしてしまう食べ物など、その様子を見て手を出してしまいがちではありますが、時間がかかっても温かく見守る姿勢が大切です。そして本人から介助が必要だと言われたら快く了解し、食事を手助けしましょう。
とはいえ食事の場は楽しむことが重要であるため、厳しく接して『訓練』のような雰囲気になる事は避けるようにしてください。
清潔な身だしなみ
介助者は相手が食事しやすいよう、清潔な身だしなみで介助を行うようにしましょう。どのような点について気を付けるか、下記の通りになります。
- 食事介助の前に必ず手洗いを行う。
- 三角巾などで毛髪を整える。
- 清潔なエプロンを使用する。
- 口臭など、匂いに気を付ける。
- 食事介助の合間に他の仕事をしないようにする。

