要点
嚥下障害のある人や寝たきりの人、意識障害、マヒのある人など、すぐに食事を始めることができない人がいます。そのような人たちの為に食事の前に口から首にかけての筋肉の準備体操を行う必要があります。さらにこれによって誤嚥の予防にもなるので、上記のような症状がなくても行う事をお勧めします。
準備体操の要点として、下記の項目になります。
- 食事を行う人に合った食事の姿勢をきちんととる。
- 肩から顎にかけて筋肉をリラックスさせる。
- 口の周りの筋肉の動きをよくする。
これらの要点を踏まえた体操の例をこれから紹介していきます。
食事の姿勢
食事のしやすい体勢をとってもらうためにはまず、食事の間無理なく保つことが必須となります。そして顔面と首、体が一直線上にあり、傾いていない状態が食事のしやすい姿勢です。
この姿勢を保つだけでも誤嚥しにくくなります。マヒなどで体がうまく動かせない人は介助の人の手を借り、枕やタオルを使用してまっすぐなるようにしましょう。
肩から顎にかけて筋肉をリラックスさせる
まず首の運動から始めましょう。
- 首を前後にゆっくりと倒します。そして左右にゆっくりと振る運動をそれぞれ数秒間行います。相手に伝わりにくい時には「天井を見てください」「こっちを向いてください」など声掛けをして誘導しましょう。
- ゆっくりと左右に旋回させたり、倒したりします。これを数回行いますが、人によっては旋回させるとめまいを起こす人もいるので、やりすぎないよう注意しましょう。
次に肩の運動へと移ります。
- 肩をすくめるように、上下運動を数回行います。
- コリや硬さが残っているようなら軽く肩を叩いたり、温めたタオルを当てるのも有効です。
口の周りの筋肉、舌の動きをよくする
口の周りの筋肉の力が低下していると物を噛んだり、飲んだりする行為がうまくいかなくなります。また、脳血管障害などでマヒがある人、筋力の低下、自身の歯の喪失など、老化によって口の周りの筋肉は低下していくため、それらの予防としても役に立ちます。
一言でまとめると「大きく口を開けて、表情を豊かにして、しっかりと声を出す」ことですが、その方法にも様々な形があります。
- 「あ行」を大げさに、口の動きに注意して長く発音する。
- 唇を突き出した状態で左右へと動かし、「ひょっとこ」のような顔をする。
- 「ぱ行」をゆっくりと言う。
- 上記の体操の合間に「ごっくん」と飲み込む練習を加える。
舌や頬の体操は下記の通りになります。
- 大きく口を開け、舌を前に突き出す。口の前にスプーンなどを持って行き、舌で押すようなイメージで突き出す。
- 舌で左右の口角をなめる。
- 口を閉じたまま、頬をふくらませたりへこませたりする。
最後に深呼吸を行い、食事へと移りましょう。
