食べやすい姿勢のポイント
普段何気なく行っている食事の姿勢は、無意識に食べやすい状態を作り出しています。しかし高齢者、とくに体の動きが不自由な方にはこの動きを自然に行う事も困難になってきます。そのために介助する人は相手がどのような姿勢なら食事をし易いのか、十分に理解しておかなければなりません。
そしてどのようなサポートを行っていけば良いか、それぞれのポイントについて示したものが下記の通りになります。
1) 食べ物の方を向く
まず「これから食事を行う」という意識を高めるために、食べ物を見やすい状態にすることが大事です。
私達人間はまず目で食べ物を確認し、それがどのような物なのか認識して無意識のうちにその食べ物に合わせた食べ方を行います。分かり易い例を挙げると固形の物はしっかりと噛んで飲み込むようにしますし、汁物は流し込むように食べる、といった形で食べ物の見た目や経験からとくに考えることなく食事を行います。
しかしテレビを見ていたり、会話や他の物ごとに集中して食べ物への意識が散漫な状態にあると、食べ物の認識も行わずに食事を行う事になります。
それによって机の傍に置いてあった無機物を口の中に入れてしまったり、辛味や苦味など刺激の強い物を不意に口の中へと入れてしまうと、予期せぬ事態に体が驚いてむせてしまう可能性が大いにあります。
どんな姿勢をとる事になろうとも、まずは食べ物が見える状態を維持できる姿勢にしましょう。
2) 背筋を伸ばし、前かがみで
「座る」という動作によって少しではありますが、お腹や腰の筋肉が動き、それに続いて舌やのどの動きが良くなります。ベッドの上半身が動くことによって寝たきりの人の動きを補助してくれるギャッジベッドや深い腰掛けイスなどを使用していると、背もたれに寄りかかってしまい食べ物をうまく飲み込めません。
座っている姿勢が不安定に感じたり、腰痛やマヒでずっと同じ姿勢で座り続けることが困難な人もいます。その時は座布団やタオルなどを背もたれに挟んでバランスを保つようにしたり、横にずれないよう肘掛け付きのイスを使用するなどの工夫が必要となります。
3) アゴを引く
食事を行う時、アゴを引いて食べることは意外と重要な事です。
もしアゴを出したまま少し上を向いた状態で物を飲み込むと、咽頭と気管が直線になり、気管の方に食塊が入り込みやすくなってしまいます。つまり誤嚥しやすくなるのです。
ベッドの上で寝たまま食べる人も、枕で少し頭を上げてアゴを引いた姿勢をとるようにしてください。
1番安心できる姿勢
次のページからそれぞれの条件に合わせた姿勢の取り方を紹介していきますが、食べやすい姿勢はその人によって変わってきます。上記のポイントを参考にし、安心して食事を楽しむことができる姿勢を模索していきましょう。

