確認の重要性
何の障害もなく食事を行える人たちにとって、この食後に行う確認の意図がすぐには理解できない事でしょう。やる事としては礼儀作法の一環で「ごちそうさま」と口にしたり、食器を片付ける程度で、その他の行動をとる人はあまりいません。
しかし体を扱いのが一苦労となって来る高齢者にとって、食事は楽しむ時間、栄養補給を行う行為であると同時に、たくさんのエネルギーを使用して疲労が溜まる場でもあるのです。
すると食事が終わると「やっと食べ終わった」という疲労からの解放感や食事を億劫に感じる気持ちから出た感想も生まれて来ます。これだといつまでたっても食事を心から楽しむことができません。
そこでまずは食事を無事に終えたことに対する喜びを与えるようにしましょう。
たとえば空になった容器を見せてどれだけ食べたの視認出来るようにしたり、拍手をして気分を高めさせたり、もし残しても次の目標を提示して今後の食事に対する意欲を高めたりと、様々な方法を用いて気持ちの向上、維持に心掛けます。
また、食後の確認事項は意気の向上だけではありません。その他にも下記のような確認事項があります。
食後の服薬
医師からの診断によって食後に飲む薬があれば、忘れずに服薬してもらいます。
口の中をきれいにする
食後には必ず歯磨きをしたり、口をゆすいだりして口の中をきれいにする習慣を付けましょう。このことは高齢者になるほど、重要な事です。口の中が汚いままだと、食べカスや細菌が肺の中に入り込み、抵抗力の弱った高齢者では肺炎を引き起こす可能性があります。
なお、食後の最後にお茶を飲むことは口の中をきれいにする効果と水分補給の両方を一緒に行う事が出来ます。
食後すぐに横にならない
食後、すぐに横になる事は避けなけらばなりません。
食後は出来れば2時間ほど時間をおいてから横になるようにしましょう。立った状態、座った体勢がきついようでしたら腹部を圧迫しない「半起座位」という座り方がおすすめです。背もたれの角度が調節できる座いすやギャッジベッドを使用して45度の角度にして足を延ばした座り方です。
すぐ横になってしまうと食べた食塊がうまく胃に運ばれないどころか、胃液と一緒に逆流してしまう可能性があります。その上口の方へと流れていくならまだしも、気管内に入ってしまうと炎症が悪化してしまう恐れもあるため、十分の消化が進んだ2時間後に横になるようにしましょう。
早くても30分を目安にして、体をいたわるようにしてください。
また、寝たきりの人でも食後はなるべく頭部を高く保つようにし、逆流しないように心掛けましょう。
食事状況の確認と記録
本人がどれだけの量を食べられたのか、食べるのにかかった時間、食べている時の様子、普段と変わった事はなかったかなど、他の人と情報を共有でき易いようにそれらの項目を確認し、記録しておきましょう。
これによっていち早く本人の好調、不調を感じ取ることができるため、医師への診断も素早く行えます。
