Lesson 10-2 食後のケア 口腔ケア

口の中をきれいにして気持ちよく

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多くの人が食後に口をすすいだり歯を磨いて口の中をきれいに保つ行為、これを口腔ケアと呼びます。誰でも行う行為ではありますが、高齢者にはとても重要な生活リズムです。

高齢者になると水分不足に陥りがちと説明しましたが、それと同時に唾液の分泌も低下してきます。すると口の中に食べ物のカスが溜まり易く、歯周病、虫歯になる可能性が高まります。

さらに麻痺によって体を上手く動かせない人は特にその傾向が著しくなります。また、食後や就寝時は虫歯になり易い時間帯なため、食後ある程度時間が経った後と就寝前には口腔ケアを欠かさず行うようにしましょう。

食後すぐに歯を磨こうとすると口の中に残った食べカスを余計に散らかしかねないため、30分ほど時間をおいて唾液で溶け切らせてから歯磨きを行います。もしすぐにでも口の中をスッキリさせたい場合には、水やお茶で口の中をすすぐ方法をお勧めします。

口腔ケアを実際行う時には、介助を受ける人に口腔ケアを気持ちの良い物だという感覚を持ってもらう事が大切です。口腔ケア後に「スッキリしましたね」や「綺麗になりましたよ」、「口臭がしなくなりました」など、ひと声かけるだけでもとても効果的です。

炎症を予防

上記で説明した通り、口腔ケアによって虫歯や歯周病の予防を行えます。

ですがそれ以外にも口の中に残った細菌が食物や唾液に乗って肺へと入り込んでしまうと、嚥下性肺炎を起こしてしまう可能性もあるのです。肺炎は高齢者の死亡原因に多く見られるため、細心の注意が必要です。

ならば口から食べ物を食べられない人や、歯の無い人にとっては関係のない話かと言われると、そうとは言い切れません。食べ物からだけではなく、普通に呼吸するだけでも空気中の細菌を口の中へと運び入れてしまうので、肺炎になる可能性が少なからずあります。

口腔ケアは毎日行う事で、口の中を改善することができます。逆に、口腔ケアを怠ると炎症や虫歯、口臭など様々な形で体を蝕んでいきます。

日々行うケアを少し億劫に感じるかもしれませんが、口腔ケアの大事さや励ましの声、動機付けなどを行って口の中をきれいに保ってもらうようにしましょう。

認知障害のある人の場合

高齢者の中には認知症などの認知障害によって、口を素直に開けてくれない人もいます。ですが口を開けないからと言って大きな歯ブラシや硬い毛先の歯ブラシを無理やり押し込んで強引に歯磨きを行おうとしても、逆効果です。

まずは柔らかく小さな歯ブラシを用いて、ブラッシングが気持ちの良い物だと分かってもらう事から始めましょう。

他にもガーゼ柄付きのスポンジなどを使用して食べ物のカスを取るだけでも大丈夫です。慣れてきたら先程挙げた小さなブラシへと移行していきましょう。