Lesson 12-3 介護食の調理 工夫点

普段何気なく行っている調理ですが、その工程にひと手間加えるだけで高齢者の事を考えた料理を作り出すことができます。このページではそれぞれの料理に出てくる工夫点を紹介していきます。

煮物

肉じゃが

噛みやすいように、野菜はゆっくりと煮込んで柔らかくします。ですが肉は塊のまま長時間煮込むとスジが固まって噛み切りにくい場合もありますので、煮込む前から繊維を断つように切り込みを入れたり、飲み込みやすいように小さめに切り分けるなどの工夫が必要となります。

また、牛・豚肉は片栗粉をまぶして煮ると、柔らかく調理ができますので下味と一緒にまぶすようにしましょう。

蒸し物

蒸し料理は水分も補い易く、柔らかく調理できますので高齢者に合った調理法の1つとも言えます。また、見た目から食欲を湧きたたせる事が出来るように、型崩れしないように角取りをしたり隣り合う具材の間を空けるなどの工夫も行いましょう。

焼き物

焼き魚は香りもよく食欲をそそりますが、焼き加減や魚の品質によっては表面が固くなって食べにくくなります。そんな時はお湯でサッと煮ると柔らかくなります。また、焼く際にアルミ箔やパラフィン紙などに包んで焼くと水分の蒸発が防がれますので、固くなりません

焼き魚を調理する際には基本的に火を通し過ぎないようにしましょう。

ですが肉類の場合、牛肉はまだしも、豚肉や鶏肉を生のまま食べると危ないので、ちゃんと火を通すようにしましょう。煮物と同じような工夫を行うと有効です。

揚げ物

普通は衣がカラッとなるまで揚げますが、高齢者の多くは衣が固くて食べにくいと思ってしまいます。その為十分に揚げることはせず、揚げ煮にします。また、揚げた後にラップをかけて電子レンジにかけるだけでも表面が柔らかくなります。

中まで火の通りを気にする場合は後者の方法を用いてじっくりと行いましょう。

炒め物

炒め物に使用する材料は前もって柔らかく煮ておくと、短時間の炒め具合でも食べやすく、油を控えることもできます。また、茎や根菜など火の通りに食い材料を先に炒め、火の通り具合から順番に炒めていきます。肉類を最後に炒めると、固すぎない具合で炒めることができます。

和え物

和え物の風味としてよく使用されるゴマですが、入れ歯の隙間に入り易い大きさなので、口腔ケアや後々の処理に手間がかかってしまいます。ゴマを使用する際には、すりゴマの方が高齢者に合った形と言えます。

また、材料は食べやすいように短く切って調理します。

酢の物

酸味で食欲を湧きたたせることは出来ますが、あまりに濃いとむせやすくなってしまうのでほどほどの量にとどめておきましょう。もし量を見誤った場合はだし汁などを使用して薄めたり甘酢を使用して甘味を加えたりします

酢の物に使用する材料は生の物が多いですが、1度サッと茹でると食べやすくなります。酢の方も少し熱を入れた方がむせにくくなるので、好みに合わせて組み合わせていきましょう。

汁物

スープ

汁物はあんやシチューなど、とろみの付いた物の方が飲み込みやすいです。もしみそ汁やすまし汁でもむせてしまう場合には水溶き片栗粉でとろみを付けましょう。

汁物の味付けは対濃くなりがちなので、1日2杯と量を定めておくか、具材を大量にして具材からしみ出てくる味を楽しむ物にするなど、塩分を控える工夫を行いましょう。