避けられない加齢
人の体は齢を重ねるごとに成長していきますが、青年期までの成長を終えると次第に体が衰えていきます。日頃から運動をしている人や、スポーツ選手などはそのスピードを遅らせることが可能ですが、老化は誰にでも起こる避けられない運命なのです。
加齢による身体変化
加齢によって体の機能が衰え、1人での生活が厳しくなると介護の手を借りる選択肢が現れます。しかし介護の手を借りるにしても、症状として現れているものが正常な加齢現象であるのか、それともなにかしら病的な原因が潜んでいるのかで話が変わってきます。
まずは正常な加齢現象について十分な理解を深めていくことが重要です。
- 脳:脳そのものの萎縮により、認知機能や記憶力の低下がみられる。
- 視覚:老眼(近くが見えづらくなる)や白内障になる可能性がある。
- 聴覚:老人性難聴によって、高い音が聞こえづらくなります。
- 呼吸器:呼吸筋の萎縮、気管支壁の線維化によって呼吸機能が低下します。
- 消化器:消化液の分泌低下、蠕動(ぜんどう)運動の低下によって消化能力が低下します。
- 骨:骨密度が低下し、骨折しやすくなります。
- 筋肉:筋萎縮によって全身の筋肉が衰えていきます。
- 神経:神経細胞の減少によって体を十分に操ることができなくなり、細かい動作が困難になってきます。
加齢による運動機能の低下
老化は体の機能を低下させるだけでなく、運動能力も低下させていきます。子供の頃や青年期には難なく行っていた運動も老体には厳しく、すぐにばててしまったり、怪我をしたりします。
筋力の低下
20代の筋力と比較してみると60歳代では約20%低下し、85歳を超える頃には50%以下にまで低下しているとも言えます。もちろん日頃から運動していたり、プロのスポーツ選手だったという経歴があれば多少の違いは出て来ますが、基本的に落ちていくのが道理です。
バランス能力
人は無意識のうちにバランスをとっており、特に意識しなくても座ったり立ったりすることができます。しかし加齢によってバランス能力も低下していき、60歳代から急激に低下して、転倒のリスクが増加します。
簡単に自身のバランス能力を確かめるためには片足立ちや、その上で目を閉じて立ち続けたりと、このような状態で苦も無く長く立っておくことができればそこまで問題ありません。
持久力
持久力も20歳代から徐々に低下していき、比較してみると60歳代では50%程度も低下し、80歳代では70%以上も低下していると言われています。
歩行
持久力の低下によって歩ける距離が短くなりますが、それと同時に歩行速度の低下、歩幅の減少、左右の足の幅(歩隔)の拡大と他の要素も加わり、さらに歩行距離を短くさせます。
生活機能
ある研究によると、運動機能の低下によって約4年後には生活機能も低下していくとされています。老化の予防にはまず運動機能の維持が重要となってきます。

