Lesson 01-4 高齢者の特徴 消化器系

体の衰えによって体機能も低下していきます。そして栄養の吸収する為に働く消化器系にも影響が現れ、様々な形で不調を起こします。

便秘の場合

腹痛

本来食事を行った後、栄養を摂取して不要となった廃棄物が便や尿といった形になって外へと排出されます。そしてその働きを十分に行うためには水分が必要不可欠です。

普通の生活を送っている場合、人が1日に摂取する水分は食べ物や飲み物などを合計して約1.5Lだと言われています。この水分の約8割が小腸で吸収され、便を固形状にして行きます。

しかし高齢者の方々は水分不足に陥り易く、過度に水分を吸収して便が固まってしまい、腸内で詰まってしまうのです。この場合、現在の食生活で水分量が足りないと思われる為、こまめに水分補給を行ったり汁物の献立を増やすなどの改善が必要となります。

また、水分補給を行う以外にも野菜やキノコ類、海藻類に含まれる食物繊維ヨーグルトや乳製品に含まれる乳酸菌などによっても便秘の改善が見込めます。もし便秘に困っているようでしたら高齢者に限らず、どの年代にも有効な手段なので試してみてください。

下痢の場合

abb9ab5ec8c764f68c137dc30fed157b_s

水様、泥状の便を総じて下痢と言います。より詳しく定義すると便に含まれる水分量が200mlであると医学的には言われています。

そして水分不足によって便秘になり易い高齢者にとって、体の衰えが直接下痢に関与するわけではありません。ですが体機能が低下したことによって免疫力も落ち、ノロウイルスなどの食中毒に感染する可能性が高くなります。

感染性胃腸炎が発症する例は下記の通りになります。

  • ウイルスに汚染された食品(牡蠣などの2枚貝に多い)を十分に加熱処理しないで食べた場合。いわゆる食中毒。
  • ノロウイルスに感染した人が調理した物、触れたものを食べることで感染。
  • 感染した人の糞便や嘔吐物に触った手からの経口感染
  • 感染した人の糞便や嘔吐物が乾燥して塵が舞い上がり、その塵を吸い込むことで感染

もし食中毒とは関係なく元々胃腸が弱く、慢性的に下痢に見舞われているようなら一刻も早く受診し、医師の診断と指示を仰ぐことが大切です。

下痢の時の食事

下痢の時には胃腸が弱っているだけでなく、便秘の時に有効な食材を食べるとさらに下痢が悪化しかねないため、食事にはいつも以上に気を付けなければなりません。

下痢の時に好ましい食事が下記の通りになります。

  • 主食:消化しやすいように柔らかいご飯、お粥、白パン、うどん。
  • 野菜:食物繊維が少ない野菜を選び、生ではなく軟らかく煮て食べる。
  • 果物:煮た果物、または缶詰
  • 豆類:豆腐、納豆、きなこ
  • 肉類:ささみなど、脂の少ない物
  • 魚類:脂の少ない白身魚
  • 乳製品:乳酸菌などで下痢を助長する可能性があるが、高栄養なため温かくして食べることもある