介護食とは
どの年代、時期に問わず、食事では安全・栄養・嗜好という3条件を満たすことが必須とされています。
特に高齢者へ与える介護食では衛生面での安全のみならず、誤嚥によってのどに詰まらせる危険を避けるようにしなければなりません。そのために飲みにくい食べ物を知り、誤嚥しないように材料を細かく切ったり軟らかく煮たりするなどの工夫が必要となります。
このような配慮を用いて、心身ともに安心して食べられる食事が『介護食』の条件となります。
求められる条件
介護食に求められる条件を細分化した物が下記の通りになります。
食べ物の条件
- 誤嚥しない食べ物にする
- 口から喉にかけてむせずに滑らかに通り、粘つかないで嚥下、飲み込むことができる『のどごしの良い食事』にする
- 見た目にも気を使い、食欲を湧きたたせる美味しい物にする
- エネルギー、栄養素、水分、どれもまんべんなく摂取できるようにする。もし難しいようなら栄養補助食品の使用も考える
食べさせ方の条件
- 誤嚥しない食べさせ方をするように配慮する(姿勢、口に運ぶ1口分の量、運ぶタイミング)
- 愛情と敬意のこもった食事介護が必要である
上記のような条件を守ろうとして咀嚼や飲み込みやすさを求めていった結果、効率性のみを優先した「どろどろの流動食」「刻み食」「ミキサー食」などが一般的でした。
しかしこのような食事ばかりでは見た目も食感も似たような物になり、新鮮味を感じることができず食欲をそそることができません。さらに人によっては『美味しくなさそう』という感想も出てきます。
そうなると食事をとる気力がわかなくなり、食事が億劫になってしまって栄養が足りずに低栄養、栄養失調へと繋がりかねません。
もちろん相手のことを考えて、食べやすい食事を作ることは大事なことです。しかしまずは相手が食事をしてくれないことにはその心遣いも無駄に終わってしまいます。
まずは前のLessonでも紹介したように、五味や五色、五法に気を付けて料理を考え、相手が食欲を湧かせてくれるような食事を作るようにしましょう。
食事は口から
いくら口から食事をとることが難しくなったとはいえ、栄養素だけに目を向けてサプリメントなどの栄養補助食品だけで栄養バランスをとるようにしたり、点滴など血液から栄養を補給するような方法を優先して考えるようにすることはやめましょう。
栄養補助食品はあくまで食事の『補助』を目的とした商品であるため、食事の代用にはなり得ません。これは点滴も同様で、しかもこちらは緊急を要した時に用いる方法なため、常用することは出来ません。
困難な事がたくさんあるとはいえ、まずは口を動かし、『食事』の習慣を体から忘れないようにしましょう。

