介護食による信頼関係
介護食には誤嚥しないように食べやすさを追及する以外にも、相手が快く食事を行えるように隅々まで配慮が行き届いた食事にする必要があります。しかしその評価には現れている症状や本人の得手不得手が関わってくるため、評価には大きな個人差が生じます。
そのためにも、介護食を作るためにはまず、食べる相手の事を重々承知しなければなりません。
もし付き合いの短い場合でも医師から診断された内容をきちんと理解し、どのような調理法が良いのか、その栄養素を重点的に加えていけば良いのかなど、分かる範囲のことから試していき、相手とのコミュニケーションを交えながら信頼関係を築き上げていきましょう。
とても些細な事に感じることでしょうが、このコミュニケーションを経る事で相手の好みが分かるため献立が組みやすくなりますし、食べ物を口へ運ぶ際のやりとりもスムーズになります。
最初は意思疎通がうまくいかず、困難の連続に突き当たる事でしょう。しかしその困難を乗り越えることによって、『楽しい食事』を提供することができます。
しかしこの関係性がうまく築けず、気まずいまま介護を続けているとお互いの精神が疲れてきてしまいます。
精神の状態は体に大きな影響を与えるため、対象者は介護食の栄養を十分に摂取できず、介護をする人は疲れがどんどんと溜まって行き、体を壊してしまいかねません。
この食事をただの『作業』とは思わず、より良い『コミュニケーション』の場として感じられるかが大きな差となります。介護をする側にしろ、される側にしろ、食事は快く行えるようにしましょう。
管理栄養士、栄養士とミールラウンドの役割
ミールラウンド(meal round)とは『食事時巡回』という意味です。
これは医療機関やケア施設などで行われ、食事中の高齢者や患者などの摂食状況を観察することです。これによって噛んだり飲み込んだりする個人的な食べ方の情報や、同じような症状の方に見られる全体的な能力問題、食物摂取や栄養状況など様々な問題を実践的に調べることができる貴重な方法です。
また、この情報を得ることで介護者、栄養士、家族との間で情報を共有することができ、介護食の改善へと繋げることができます。
このような調査結果を基に、高齢者の栄養失調を予防して、さらに衰弱している高齢者に最高の栄養状態を取り戻させることが栄養、医学などの観点から見た目標です。
相手への配慮を注目しつつ、現実で気にどのような食事が効率よく栄養を補給できるのか、そのバランスをとりながら介護食を改善していきます。
まずは「食べる人」「食べ物」「食事環境」についてチェックして、少しずつ観察していきましょう。
