高齢者の低栄養
まず、低栄養とは食事量が不十分な事によって起こるたんぱく質やエネルギーが不足していることです。
たんぱく質が不足すると新しい筋肉を作り出すことができませんし、エネルギー、いわゆる炭水化物や脂質が減ると体を動かすだけでなく体機能を整えるためのエネルギーすら十分に確保できなくなってしまいます。
そしていずれは他の栄養すら十分に摂取できず、骨の減少、皮膚障害、免疫力低下など様々な形で体を蝕んでいくことでしょう。そしてそのような綻びから、感染症にかかるリスクも高まってきます。
低栄養はその程度の高さが高いほど、早めの対応が必要となってきます。
日々の生活において低栄養が一般化していてなかなか確認できない場合には、体重の変化が目安となります。1~3ヶ月の間に起こった体重減少率の数字によって、低栄養の度合が測れます。
- 低リスク:体重減少率が3%以下
- 中リスク:体重減少率が3~5%
- 高リスク:体重減少率が5%以上
また、決まった期間内だけでなく、体重が減り続けているかどうかも重要なポイントとなります。減少率が低い場合でも、半年から1年の間に減少し続けている場合には何かしらの原因があるので、生活の見直しや医師への診断が必要となります。
神経質にならない
体重減少率の計算方法
(数ヶ月前の体重-現在の体重)÷数ヶ月前の体重×100
このように数値としてハッキリわかると今度の食事計画などが立てやすくはなりますが、体重の減少だけを見て低栄養だと確定するのは少々神経質です。
たとえばもともと肥満体で、ダイエットが必要となって食事制限を行ってその結果が出たという場合もあります。もし食事制限が厳しくて低栄養にあたる体重減少率が出てしまったとしても、個人で低栄養だと決めつけてしまうのは早計です。
体重減少率以外にも血液検査や血清アルブミン値、総たんぱく質値など、様々な数値の検査を行ってから判断する必要があります。
しかし、これらの数値を知るために頻繁に病院に通う事はとても難しい事です。なので細かい数字を測らずとも低栄養だと理解出来る様に、日頃からコミュニケーションをとって些細な事でも観察するようにしておきましょう。
たとえば下記の項目を参考にしてみて下さい。
- おしゃべりなど会話が減ってきていないか
- 表情がうつろではないか
- 顔色が悪くないか
- いつも食べられる量が食べられなくなっていないか
- 便秘や下痢をしていないか
- 口が渇いていないか
とても些細な事に感じますが、これらの変化が現れた時に体重減少を起こしている事が多く見られます。よく観察し、早めに対応策をとるよう心掛けましょう。
