誤嚥とは、食道を通って胃に入るべき食べ物が声門を超えて気道に侵入することを指します。このページでは誤嚥について学んでいきます。

摂食・嚥下

誤嚥を学ぶ前に、まずは普段通りの摂食行動、食べ物を飲み込む動作について説明していきます。

食事を行う時、何も気にせず食べ物を口に含んで飲み込んでいますが、その動作を行うためには５つの段階が踏まれているのです。それを大きく２つに分けると『摂食』と『嚥下』という動作に分かれます。

摂食とは、食べ物を認識して口に取り込むことを言います。摂食行動によって精神の安定を図り、この動作がうまくできなくなってくると、ストレスなど精神的な影響が現れて来ます。

嚥下とは摂食によって口に含まれた食べ物を飲み込む行為です。

この２つの動作が正常に働くことによって、『食べる』という行動がスムーズに行えるのです。さらに細かく５つの段階に分けると、下記の通りになります。

摂食

嚥下

誤嚥と不顕性（ふけんせい）誤嚥

通常、誤嚥が起こるとむせたり咳をすることで侵入しかけた食塊を排出しようとします。しかしこの反応が低下し、誤嚥しても咳などの生体防御反応が遅れてくると『不顕性誤嚥』の恐れがあります。

体が本能的に行う動作に不調が生じると、知らず知らずのうちに炎症を起こしている可能性があります。そのような事態に備えて定期的に病院へ通って自身の体について把握しておくと良いでしょう。

誤嚥が疑われる症状

誤嚥はある日突然に起こすというよりも、食べる・飲み込む機能が低下することによってみられる症状です。具体的には口の中に食べかすが残ったり、いつもより食事時間が長くかかる、パサパサした物が食べにくいなどの症状が見られると低下の疑いがあります。

さらに機能低下が悪化すると「咳き込む」「むせる」「痰が増える」などの症状が加わってきます。ますますひどくなると「食後、声がかすれる」「微熱が続く」「原因不明の体重減少」などの症状が現れるので、いち早く病院へと向かうようにしましょう。

介護食や食事のケアにどれだけ気を配らせていても、食べる本人の体に異変が生じてしまっては「楽しい食事にしよう」という努力は無駄になってしまいます。体の不調によって食べる量が減り、低栄養や脱水症状へと繋がりかねませんので、もし不調を感じるようでしたら早めに相談するようにしましょう。