誤嚥によって様々な症状が現れる事については理解していただきましたので、このページでは誤嚥が原因になって起こる症状について理解していただきます。
誤嚥性肺炎
高齢者の死亡原因の1つに「肺炎」が挙げられ、さらに高い割合を占めています。これは誤嚥を何度も繰り返すことによって気管にダメージが溜まっていき、炎症を引き起こす結果へと繋がるからです。
中には食塊が気管へと入ったと気付かない不顕性誤嚥であったために誤嚥にも気付かず、事態が悪化したところで炎症が発覚したという場合もあるので、なるべく飲み込みやすい料理を提供するようにしましょう。
機械的誤嚥と化学的誤嚥
『機械的誤嚥』とは、飲み込む時に口の中の食塊が食道ではなく気管へと入ってしまう事を言います。
『化学的誤嚥』は、口の中にいる細菌、または胃液などが逆流してきて気管内に入る事を言います。
どちらも誤嚥ではありますが、引き起こされる過程が違うため対処法もそれぞれ変わってきます。各々の対処法について記載した物が下記の通りになります。
機械的誤嚥の予防法
- 意識状態がはっきりしていない時には食事を行わない。
- 誤嚥しにくい食事内容を心掛ける。
- 食事の時の体位に注意する。
- 食事中は食事に集中できる環境を整える。食べ物を口に含んだ時の会話やテレビなど、気が散らない程度にとどめておく。
- たくさんの食べ物を口に詰め込まない。確実に飲み込んでから、次の食べ物を運ぶようにする。
- きちんと料理を味わいながら、ゆっくり食べる。
化学的誤嚥の予防法
- 歯磨きなど、食後の口腔ケアをしっかりと行う。
- 食後、すぐに横にならない。少なくとも30分、できれば2時間の間をあけると安全。
- 胃液の逆流を起こしやすい場合には、寝る間、夜間の時も頭を15度ほど上げた体位で寝るようにする。
飲み込みやすい食品
誤嚥の原因は飲み込む力の低下とも言われています。ならば弱まった力でも飲み込めるような食べ物を与えることで、未然に防げる誤嚥は増えて来ます。
おもに下記の条件に当てはまる物が飲み込みやすい食品になります。
- 柔らかく、口の中でまとまりやすい物
- あまり粘りがなく、粘膜につきにくい物
- 色々な物が混ざっていなくて、均一な性状の物
これらの条件を含んだ物の例として、プリンやヨーグルト、卵豆腐、あんかけ、茶碗蒸し、桃、温野菜などが挙げられます。
誤嚥しやすい『水』
一見水は飲み込みやすくて誤嚥しにくいとも感じられますが、サラサラしてひと塊な状態ではないので気管の方へと流れ込んでしまう場合が多々あります。
しかし逆に考えれば、水やお茶を難なく飲みことができれば他の食品が気管へと流れていく可能性は大幅に下がります。そのため、食事前に水を1杯飲んでその日の状態を確かめるのはとても重要な事なのです。

