必要な水分摂取量
成人の場合、1日に摂取する水分は1L以上が必要だとされています。しかし高齢者、とくに寝たきりの人は水分摂取の不足によって簡単に『脱水』状態へとなってしまい、生命の危機に陥ってしまいます。
さらに単に脱水症状になるだけでなく、他の症状へと繋がりかねないのでなおさら水分補給が重要な働きを持つようになります。
脱水症状になり易い理由
高齢者が脱水症状になり易い理由としてこれらが原因になってきます。
- 若年者に比べて体内における水分貯留量が少ない。
- 腎臓の機能低下のため、水分調節のバランスがとりづらい。
- 脳の機能が低下するため、「のどの渇き」を自覚できない。
- オムツを使用している人では介助者に遠慮してしまい、水分摂取を控えてしまう傾向にある。
- 自分でトイレを使用している場合でも、失禁を気にしたり、トイレへの回数を減らそうとして水分摂取を控えがちになる。
- 脳血管障害患者などでは、意識障害、言語障害などにより、水分が欲しい事を上手く伝えることができない。
- 寝たきりで動けない人は誰かが準備してあげなければ、水分を摂ることができない。
- 利尿剤など、脱水を起こしやすい薬を服用している場合がある。
また、脱水症状として倒れてしまう前に、脱水の疑いがある様子をうかがえることができます。
- いつもよりなんとなくぼんやりしている。元気がない。言葉がはっきりしない。
- 尿量が減少している。(尿の回数が少ない、オムツの濡れ具合が少ない)
- 痰の絡みが強い
- 皮膚につや、張りがない(皮膚をつまんでしわを寄せても、元に戻らない)
- 舌が渇いている
具体的な水分補給
水分補給の計画を練る前に、まずよく使用する、愛用している湯飲みやコップなどがどれくらいの容量であるか確かめておきましょう。その容量を基準に考え、何杯飲めば1Lを超える水分が摂取できるか計算して、食前、食中、食後に何回飲めばよいか計画が立てやすくなります。
運動時や風呂上りに水分補給をする場合がありますが、水分をたくさん摂取しておいて損はないので1Lを超えてもかまいません。他にもたくさんの水分補給を行う例が下記の通りになります。
- 発熱時には熱のため、水分が奪われてしまいます。そのため、普段より多めの水分補給が必要です。
- 下痢の時にも水分が失われて脱水症状に陥り易くなります。食事を控える場合でも、スポーツドリンクなどで水分と栄養の両方を摂取するようにしましょう。
- 気管支喘息の発作の時には呼吸が荒くなり、呼気から大量の水分が失われてしまいます。それによって痰も絡みやすくなり、呼吸が困難になります。
- 心臓病や腎臓病などが原因で飲水量に制限がある人もいます。その場合は医師との相談の上、細かい水分補給の計画を練るようにしましょう。

